タッキー&翼という人生を選んだということ

横アリ2日目夜公演オーラス、アンコール。

 

最後にパーカーを脱いだ滝様が翼Tシャツを着ていないことに、あれ??となった。「翼」の文字がない。ということは・・・。

 

そういえば、サンタ帽をかぶらずに出てきていた。そして、いつもならスノがはける時にツリー姿のふっかを転がしたりなんだりしてたのに、この時だけはハグしてふっかの耳元で何か話し、ふっかも真剣な顔で頷くだけだった。伏線だったのか・・・とやっと気がつく。

 

そして険しい顔でバクステ方向(多分PA席?)に向かって手を上下にして指示する滝様。BGMの音量が小さくなっていき、すかさず「タッキー!!」と言って、手をパンパンと叩く滝様。条件反射で「翼!」とコールし、手をパンパンと叩く客席。センターステージに移動しながら、もっともっとと煽る滝様、返す客席。わたしも、「もしかして・・・」と期待と緊張が入り混じりながら、「このコールを続けたらきっと・・・いやでも・・・」と思いながら、お腹の底から声を出し、タキツバコールを続けた。これまで何十回とやってきた中で、一番大きな声で叫んでいた。きっと、みんなそうだっただろう。

 

その高揚が最高潮に達した瞬間、滝様の口からその名が告げられた。

 

今井翼!!!」

 

どよめきと歓声に溢れる会場。一瞬の間の後、メインステージの影からすっとその姿が現れた。その瞬間、それまでの歓声とはまた違う、悲鳴に近い、泣き叫ぶような声に会場が包まれた。わたし自身も、思わず崩れ落ちた。隣に居た翼担の連れも崩れ落ち、泣いていた。でもその瞬間、ダメだ、きちんと姿を見なくては、と冷静になって立ち上がり双眼鏡を握りしめた。でも、どういう風にしてその後二人の姿を見ていたかの記憶があいまいなので、やはり冷静ではなかったのだろう。

 

ふたりは、花道で合流し、抱き合った。翼の目はすでに潤み、申し訳なさそうな表情でいっぱいだった。そしてゆっくりとセンターステージに向かい、そこで翼が言葉を発した。「今回のことは、ご心配をおかけしてしまいすみませんでした」とまず謝りの言葉を述べた。謝らなくていいのに、病気になったのは翼のせいでもなんでもないのに、そう思って胸が締め付けられた。そして、「正直、闘病中は心が折れました」と続けた。気持ちは元気です、なんて言ってたけど、やっぱり辛かったよね、とそこで思い知った。ただでさえ大きな舞台の前にナーバスになってしまったり、泣いてしまったりする彼が、踊れないかもしれないなんて状況になって、大丈夫でいられるわけなんてないもの。ただ、こうして舞台上で言えるということは、その先へ進めたからかななんて思い、少しホッとした部分もあった。

 

そして、「そういった中で、滝沢やファンの皆さん、身の回りのサポートをしてくれた事務所の皆さん、マネージャー、僕の母親、僕のドクター・・・すべての人に感謝しています。心は折れましたけど、皆さんの応援があって、心がつなげたと思います」と、途中涙ぐみ言葉を詰まらせながらも、感謝の気持ちを述べた。

 

今後については、病気と上手く付き合いながら、予定しているカウントダウンや座長を務めるPLAYZONEについては、心配をかけない程度に出演をしたい、そして願いが叶うならば、ここ横浜アリーナを含めた全国ツアーをやりたいと思っています、と。

 

最後にまたありがとうございましたと感謝の気持ちを述べたあと、後ろでずっと見守っていた滝様と共にメインステージに移動したのだけど、その時に滝様がつぶやいた「みんな、よかったね」の言葉が、とてもとても優しくて、涙が出てきました。自分が一番嬉しいのに、置いておいて、ファンに向かってよかったねって言えるその慈悲深さ、なんなの!!滝様こそ、よかったね!だよ!!(涙)

 

そして、滝様がまた音量を下げた時と同じ険しい顔で、下手の奥に向かって何やら指示をしていた。トロッコだった。Eブロ側に運ばれたトロッコに、翼と二人で乗り込んだ。翼が先頭で、滝様は後に控えるようにして進んでいった。ゆっくりゆっくり、お客さんひとりひとりに手を振るようにトロッコは外周を一周周った。思わず、バッグにしまいこんでいた翼のうちわを取り出し、翼に向けた。声にはならなかったけど、気持ちだけは届きますように・・・と思いながら握りしめた。

 

途中トロッコが激しく揺れて倒れかけ、滝様がおどけるようにコラ!っと怒り、翼が笑うようなやりとりがありつつ、無事一周回り終えて、メインステージに戻ってきた時、翼が一言「ただいま」と何気なく言った。「おかえりー!!!」とみんなで、叫んだ。わたしも叫んだ。その4文字がずっと言いたかったのだ。

 

そして左右に分かれて挨拶していた時、下手側に来た滝様がバンザイをしていた。とても穏やかな笑顔で、無邪気にはしゃいでいた。下手側の客席は、わたし含め、つられてバンザイした。ほんとに、よかった。

 

そして、手をつないで、一人ではなくふたりで、「タッキー&翼!」といつもの挨拶をした。あぁ、いつもの光景だけど、これが見たかったのだ。そしてはける時、左右に分かれるところで、よくやる引っ張り合いをして見せた。翼の方に行くかな?と見せて、滝様がぐっと引っ張って消えていった。そのやりとりを見て、その二人の笑顔に、もう大丈夫、と思った。心から笑うことができた。

 

最後のエンドロール、「ありがとう。次は必ず二人で。タッキー&翼」とメッセージが流れた。ツアー欠席の中で翼が最後だけ登場したのは、これが出したかったのだなぁ、と納得した。

 

今回のことは、滝様も言っていたけど、前例がないことだし正解がわからないことであると思う。正直さみしさを感じたし、見てて辛い部分も大きかった。でも、中止にしていても、ソロコンに近い形にしていても、何をしてもきっと何か悲しいものがあるなかでは、ベストだったとわたしは感じた。そこに翼の居場所を作ってくれたこと、戻らないといけないと思わせてくれたこと、それが大事だったのだと思う。ツアーを終えた後のラジオの中で滝様は「結果オーライだった」と言っていたけど、その言葉に尽きると思う。

 

会場で流れたメッセージの中で、「僕たちはただのグループではなくて、タッキー&翼という人生を選んできました」と滝様は言っていた。翼には滝様がいないといけないし、滝様にも翼がいないといけない。そして、二人でこの先も歩み続けていかないといけないし、今回のことは乗り越えていかないといけない試練なのだ。

 

病気は完全に治ったわけではないし、翼が言うようにこれからも付き合い続けていかなくてはいけないものである。でも、翼の隣には滝様がいる、ただそれだけでこの先も大丈夫だと自信を持って思えるようになった。滝様が翼を、滝翼を守ってくれる。手を取り合って、一緒に進んでくれる。だから、タッキー&翼は大丈夫なのだ。

 

わたしはたきつ担ではもうないのだけど、この素敵なグループの、人生の目撃者でありたいと心の底から思ったので、これからも見守り、応援し続けていきたいです。翼、おかえり。滝様、本当にありがとう&お疲れさまでした。

 

余談。この覚え書きが一週間もかかってしまったことによって、翼のラジオ復帰までも過ぎてしまったのだけど、そこにおける滝様の在り方というものにまた心を打たれた。それまでの間生放送でピンチヒッターを務め続けてきたのにも関わらず、いざ翼が戻ってくるとなったらすっと身を引き、手紙のみ届ける男前っぷり。あなた、どれだけカッコイイことしたら気が済むんですか!!ゲストでまたトバセに出てくれる日を楽しみに待ってますよ。長らくの代打お疲れさまでした!!

 

次はカウコンだー!